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自己破産したら養育費はどうなる?免責・減額されない?

  • 文責:所長 弁護士 羽藤英彰
  • 最終更新日:2025年1月10日

離婚後に親権者でなくなった親は、養育費を支払う義務があります。

しかし、他にも借入がある場合、養育費の支払いが苦しく滞納をしてしまっているという方もいらっしゃるでしょう。

実は、その借金の滞納が続いた結果として自己破産をした場合でも、養育費の支払義務は免責されません。

養育費は子どもの成長に不可欠なお金であり、破産法によって手厚く保護されているのです。

では、もし養育費の滞納を続けたら、最終的にはどうなるのでしょうか。

また、養育費の滞納と借金の両者を解決できる方法はないのでしょうか。

今回は、自己破産した場合の養育費の支払い等について解説します。

1 養育費を払えず滞納し続けるとどうなるのか

養育費を滞納したまま長らく放置すると、給料の差し押さえなどの強制執行がなされるリスクに繋がります。

相手方の配偶者としては、養育費が支払われないことの不信感は大きく、子供のためにも放置せずになんとか受け取ろうと動くケースが多いでしょう。

特に、養育費の取り決めを調停や審判といった裁判上の手続き・公正証書を作成して行った場合、元配偶者は既に「債務名義」という「財産を差し押さえできる権利」を手にしていることになります。

(※養育費の取り決めについて書面を作成していないケースなどであっても、裁判等の手続き等を経て勝訴判決等を得れば、それが債務名義となります。)

債務名義があると、元配偶者は相手方の給料や預金を差し押さえることができます(強制執行)。

逆に言えば、債務名義がなければ強制執行はできませんので、滞納者としては債務名義を取得されるまでに何らかの対策をする必要があります。

2 自己破産における養育費の扱い

では、養育費が払えないからという理由で自己破産をすることは有効なのでしょうか。

⑴ 自己破産しても養育費は免責・減額されない

自己破産に成功すると借金等の債務の返済が免除されますが、例外として冒頭の通り、養育費の支払義務は自己破産をしても免責されません。

(免責とは、債務の返済義務がなくなることを意味します。)

自己破産手続上、債務の中には、「非免責債権(自己破産しても免責にならない債権)」と定められているものがあり、この中に養育費が含まれています。

これは、自己破産によって養育費の支払い義務が免責されると、子どもが最低限必要な教育などを受けられなくなってしまうと考えられているからです。

「非免責債権」については、養育費の他に、税金、婚姻費用、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権などがあります。

また、これらの支払い義務が免除されないのは個人再生のケースでも同様で、個人再生手続きを行っても養育費などは減額されません(非減免債権)。

⑵ 養育費の滞納による自己破産への影響

自己破産では、養育費の滞納の有無によって手続きに影響が出る可能性があります。

複雑なことが多いので、自己破産手続きの前に弁護士に助言をもらうことをおすすめします。

①滞納がないケース

養育費の滞納がない場合は、自己破産をする上で特に影響はありません。

養育費は負債(借金)として取り扱われず、裁判所に申告をする必要はありません(家計表に支出として記載する必要はあります)。

もちろん、自己破産後も従来通り養育費を支払っていきます。

②滞納があるケース

滞納がある場合、未払いの養育費は債務として扱われます。

この場合、破産手続を進めるにあたって、元配偶者を債権者に含めることになるため、元配偶者に自己破産することが知られてしまいます。

また、養育費の「滞納分」については、他の借金と同様、弁護士へ依頼したあとに債権者に支払うことが禁止されてしまいます。

仮に「滞納分」を支払ってしまうと、一部の債権者だけに返済をした「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とみなされ、免責不許可事由に該当してしまい、最悪の場合は自己破産に失敗してしまうこともあります。

もっとも、現在から将来支払う必要がある養育費については支払っても問題ありません。

しかし、滞納があるケースで「毎月5万円の約束なのに8万円を支払った」などという場合、3万円分については「滞納分」を支払ったと見なされ、やはり免責不許可事由に該当することになりますので、注意が必要です。

このような理由から、養育費の滞納分については、破産手続中支払いを止める必要があり、最終的には自己破産手続終了後に止めた分も含めて元配偶者に支払いをしていくことになります。

元配偶者には自己破産についてしっかりと説明をする必要があるでしょう。

3 自己破産以外の対策|養育費減額交渉

養育費の金額は各家庭によって異なります。

父母双方の年収や子供の年齢、子供の数などによって変動するからです。

例えば、元配偶者が昇給した場合や、こちらが減給した場合などは、養育費を減額してもらえる可能性があります。

また、自己破産したことも減額の理由として考慮してもらえる可能性があります。

そこで、養育費の支払いが苦しい場合は、まず元配偶者と減額について話し合い、それでも上手くいかなければ、家庭裁判所に養育費の減額調停を申し立てるのがよいかと思います。

4 借金が原因で養育費が払えない場合はご相談ください

以上のとおり、養育費は自己破産した場合でもその支払いが免除されることはありません。

また、養育費を滞納している場合は、滞納分は債務と同じ扱いになりますので、他の債権者より優先して支払ってしまうと自己破産手続に支障が生じてしまいます。

当法人では、借金問題に関するご相談は何度でも無料ですので、お悩みの方は安心してご相談ください。

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